論文: Chem. Ing. Tech. 2020, 92, No. 1–2, 53–61 (Open Access)
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/cite.201900092https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/cite.201900092
著者: Siemens AG, Covestro Deutschland AG

論点:
– 歴史的に、化学工業セクターの還元同等物質は、エネルギーセクターの潮流を追う形となってきた。最初のエネルギー物質は石炭であり、続いて石油、天然ガス、今日ではシェールガスとなっている。よって、風力や太陽光からの電気が主要なエネルギー源となることが今後は予想される。
– 電解技術はエネルギーの貯蔵に適しているが、水素をエネルギー物質とした場合、炭素ベースの化学工業への適用にはもう一段階のプロセスが必須となる。
– 電気化学的なCO2変換反応はOguraやHori等日本人研究者の包括的な研究によって再発見された。
– 電気化学的CO2変換反応の中で、実用化に耐えうる性能を示しているのはCO合成のみ。
– COの応用としてFischer-Tropshによる燃料合成が考えられるが、市場価格が低いため、経済的に難しい。
– EvonikとSimensはCOとH2によって炭素効率の高い嫌気性発酵技術を報告している。
– CO2→CO変換の鍵は、CO2の低い溶解性を克服するためのガス拡散電極。
– 使用された触媒は銀で、副反応である水素発生反応の抑制とCO2変換への高い活性を期待。
– 銀触媒は中性からアルカリ性のみしか機能しない。
– そのため、炭酸カリウムと硫酸カリウムを使用。
– CO2→CO反応の選択率は90%で、200mA時のセル電圧は6~7V程度。
– セル電圧に対する反応圧力の効果はむしろマイナスに作用する。電解液の抵抗増加が原因と推定。
– 動作パラメータとして、λ=CO2供給量/CO生産量を設定。工業化に耐えうるプロセス枠はλ=3~4。
– セルの設計改善でCOの濃度は30~40vol%に到達。反応温度は60℃。室温はプラントスケールでは維持困難。精製分離コストを抑えることができる。
– 耐久性試験は電流300mA. 温度60℃で電解液を流し続けながら実施。1500hでCO2→CO反応の選択率95%を維持を実証。
– 本結果は、Kopernikus project P2Xの一環で行われた。さらなるCO2→CO反応の基本的な理解とスケールアップの検討がKopernikus P2X phase IIで行われる予定。