二酸化炭素の濃度が観測史上最大に

今回は、環境問題を語る際に欠かせない二酸化炭素(CO2)の話題を取り上げます。6月4日に、アメリカ海洋大気庁とスクリップス海洋研究所から、大気中のCO2濃度が観測史上最も高い数値となったとという発表がありました。先月はコロナウイルスの影響によりCO2の排出量が大幅に抑えられた(17%程度)というニュースニュースがありましたが、それでも大気中のCO2の量が増え続けているということが明らかになりました。

この発表によると、今年観測されたCO2濃度は417ppmで2019年から3ppm増加したとあります。ここでppmという単位に馴染みがない方が多いと思います。これはパート パー ミリオンの略で、対象となるものを含む集団内の総数が百万個あった場合にその対象が一つ含まれていれば、1ppmになります。つまり、CO2濃度が417ppmということは、「大気中の成分(窒素、酸素、水分、その他)が百万個あった場合に、CO2が417個ですよ」という意味です。

この数字を見て、「なんだ大した量じゃないじゃないか」と印象付けられる方もいるかもしれません。しかしながら、大気全体における成分量は非常に莫大なため、この変化は決して無視できないものです。より具体的に見ていきましょう。大気の総重量は約5千兆トンとされており、このうちの1ppmは(分子量の違いを無視すると)、約50億トンに相当します。この重さを車の重さと比較してみましょう。現在、地球上に存在する車の数は14億台と言われており、平均的な車の重量を1.4トンとして計算すると、大気中1ppmの重量は世界中にある全ての車の重さの2.5倍に相当します。今回の報告では、2019年と比較して約3ppm増加したとありましたので、世界中の車の7.5倍ものCO2が大気中に溜まってしまったということになります。

では、大気中のCO2が増加すると、地球環境にどのような影響があるのでしょうか?まず始めに気温への影響を考える必要があります。詳しい原理は、本サイトの学びの場で述べていくとして、CO2は赤外線と言われる電磁波(光の仲間)を吸収する特徴を持っています。地球の温度は、太陽の光によって常に温められているのですが、同時にこの赤外線地表から宇宙に放出することで、初めて人間やその他生物が暮らせる気温を保っています。ここで、CO2の量が増えていくと、それまで宇宙に放出されていた赤外線が大気中で吸収され、吸収された赤外線は最終的に熱に変化することで、地球がより温まってしまいます。この現象を温室効果と呼びます。

CO2が赤外線を吸収するということは、遥か昔に科学的に実証された事実です。これに加えて、

1. ここ60年間でCO2濃度が増加している
2. 同じようにして平均温度も増加してきている
3. 人々の活動でCO2が排出されている

の三つの事柄をベースに総合的に分析し、多くの研究者が「人々の活動によって温暖化が起きている」という結論に至っています。このような観測結果や研究活動は、膨大な人と時間を費やされて成し遂げられている、いわば人々への警鐘であり、気軽に無視することはできません。

さて、ここまではCO2の量が地球の温度に与える影響を述べてきました。皆様が次に抱いている疑問は、

1. CO2の量が増加すると、どのくらい温度が増加すると予想されるのか?
2. 温度が増加すると、実際に我々の暮らしや地球環境にどのような影響があるのか?


かと思います。これらはとても重要かつ複雑な問題ですが、既にいくつかのシナリオが出されています。次回の記事ではこのような点に焦点をあてて、CO2と温暖化の影響をさらに議論していきたいと思います。

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