2020年はCOVID-19(コロナウイルス)が世界中で猛威を振るう年となってしました。日本では徐々に規制緩和が進み、アメリカでもようやく活動再開に向けた計画が公表されつつあります。
COVID-19の流行で影響されたものの一つとして、大気汚染の緩和が挙げられます。アメリカのロサンゼルスやインドのムンバイでは、これまで見ることができなかった青空が見られ、一日当たりの二酸化炭素(CO2)の排出量は減少しました。しかし、これらの現象はあくまで一時的なものであり、また人々の命を犠牲にすべきものでもありません。

世界ではすでにポストコロナの時代にどのようになるか議論が行われています。「一時的に見られた環境問題の緩和をサステナブルなものにするために、今こそ環境負荷の少ないものに投資をすべきだ」といった意見が多くみられます。
ここでは、スタンフォード大学の教授であるRob Jackson博士のインタビュー記事を取り上げてみます。博士らはCOVID-19の影響で世界のCO2排出量が17%減少したという研究を報告しています。
インタビュー記事の原文はこちら
https://news.stanford.edu/2020/05/19/environment-energy-covid-19/
Q. COVID19による一日当たりのCO2排出量の現象は驚きですか?
A. 自宅待機の規制のレベルが地域によって異なるため、人々は我々が見積もった減少分をみて、たったの4~%だけ?と驚かれるかもしれません。しかしこれは、第二次世界大戦以降で最も大きな減少なのです。しかしこれは、望ましくもサステナブルでもない理由です。さらに驚くべきことは、アメリカの4月の排出量が三分の一になったことです。これらは人々の移動、工業、および電力需要の減少によるものです。
Q. 歴史を振り返ってみて、過去の衝撃的な出来事はどのように化石資源の排出を変えてきたのでしょうか?
A. 経済危機は短期的なものです。2008年の不景気によりCO2の排出量は1.5%減少しました。しかし翌年には、何事もなかったように、CO2の排出量は5%増加しました。なぜならば化石資源の社会構造は何も変化がなかったからです。それとは対照的に1970年代のオイルショックでは我々の化石資源の利用に直接的で、より変革性のあるものでした。これにより、小型車や太陽光発電が誕生しています。
Q. 国際通貨基金(IMF)や国際連合(UN)といった国際機関は、コロナ後の回復活動は気候変動危機に対応させるべきだといった声明を出しています。一般の方々にどのようなメッセージを伝えますか?
A. 2008年の不況の後、約5兆円もの経済支援が風力発電や太陽光発電への移行に役立ちました。私たちは現在もそれらグリーンエネルギーの恩恵を受けており、歴史的に低価格な風力や太陽光発電ンは300万人もの雇用を生み出しています。私たちは輸送を変革できる、同様の機会を得ているのです。まずは現在機能していない4兆円ものエネルギー省内クリーンエネルギー向け低金利ローンを開放し、自動車ローンの仕組みを発展されるところから始めることができます。
Q. このCOVID-19の流行は、CO2を排出する活動に対する人々の態度や行動に、どのように影響するでしょうか?
A. COVID-19は今後の通勤や交通手段を変えるかもしれません。例えば、ミラノやシアトルといった都市ではは、何マイルも続く通りを完全に閉鎖し、歩行者や自転車に開放しています。在宅勤務は、パートタイムであっても、新たな日常になるかもしれません。交通渋滞はすでに解消されました。電気自動車は高速で化石資源が不要となる可能性があり、これまで脱炭素化が困難であった経済セクターも変えていくでしょう。
Q. 富裕層でないコミュニティはCOVID-19および気候変動の影響に対してより脆弱です。我々はこのパンデミックから、何を学ぶことができますか?そしてそれは、CO2排出に関する私たちの復興戦略にどのように反映されるべきでしょうか?
A. 大気汚染は心臓と肺を弱め、ウイルスを強くします。(アメリカでは)より多くの有色人種や貧困層がCOVID-19によって、亡くなっています。彼らはまた、石炭火力発電所や自動車が走る高速道路の近くに住んでいる傾向があります。これは、年間数十万人のアメリカ人を死に至らしている大気汚染の最大の原因です。クリーンエネルギーと電気自動車を組み合わせることで、すべての人が清浄な空気を、家にこもることなく得ることができます。
Q. COVID-19はあなたに対して、環境に関する何を示しましたか?
A. 私たちは、自分たちが運転をやめたときにこれほど速く空気が澄んだことに驚嘆しています。ロサンゼルスの息子が「お父さん、空は青い!」と言っていました。地球環境は打たれ強く、人々もまたそうです。 COVID-19から良いものが生まれるかもしれません。